- Q.1 過払い金とは、何ですか?
- Q.2 なぜ、過払い金が発生するのですか?
- Q.3 消費者金融会社やクレジット会社との間の取引期間がどのくらい長いと過払い金が発生することになりますか?
- Q.4 過払い金の返還請求を成功させるためには、依頼者は何をする必要がありますか?
- Q.5 契約書や領収書が見つからない場合、過払い金の返還請求を諦めなければなりませんか?
- Q.6 借金を完済して消費者金融会社やクレジット会社との取引が既に終了しているのですが、過払い金の返還請求はできますか?
- Q.7 過払い金の返還請求は、必ず訴訟を提起することによって行われるのですか?
- Q.8 過払い金の返還請求について決着が付くまで、どのくらいの期間がかかるのですか?
- Q.9 過払い金の返還請求をした場合、何かデメリットはありますか?
- Q.10 過払い金の返還請求は、自分一人でできますか?
- Q.11 過払い金の返還請求をするための費用はどのくらいかかるのですか?
1. 過払い金とは、何ですか?
「過払い金」とは、借金が完済されているにもかかわらず、借主が貸金業者に対して返済を行ってしまったことによって生じる、借主が貸金業者に対して返還請求できる金銭をいいます。
この「過払い金」については、「借主が貸金業者に対して返済をしなければならないもの」ではなく、「貸金業者が借主に対して返済をしなければならないもの」である点に最大の特徴があります。
つまり、ある貸金業者に対して「過払い金」を有している人は、その貸金業者に対する借金が完済されている上に、さらに、その貸金業者から金銭の返還を請求することができるのです。
なお、通常、「過払い金」は、消費者金融会社やクレジット会社との間で長期間の取引がある場合に発生します。
また、「過払い金の返還請求」は、「自己破産」・「個人民事再生」・「任意整理」のいずれの手続とも併せて行うことができます。
2. なぜ、過払い金が発生するのですか?
「利息制限法」という法律が貸金の利息について「年率18%」前後まで利率を制限しています。
にもかかわらず、消費者金融会社やクレジット会社はこの法律に反する金利(年率28%前後)で営業をしているため、借主は過度に利息を支払い続けていることになります。
これにより、消費者金融会社やクレジット会社に対して長期間に渡って返済を続けている人には「過払い金」が発生することになります。
(なお、この点の詳細については「過払い金の返還請求・2、なぜ、「過払い金」が発生するのか?」を御覧下さい。)
3. 消費者金融会社やクレジット会社との間の取引期間がどのくらい長いと過払い金が発生することになりますか?
具体例を挙げますと、仮に年率29.2%の約定利率で金50万円を借り入れて、その後、毎月、「約定の利息分」だけを返済し続けた場合には「5年5ヶ月間」で借金の全額が完済されて過払い金が発生している状態になります。
よって、事案(取引の内容や約定利率)にもよりますが、計算上においては、貸金業者との間での取引が「約6年間」絶え間なく継続している場合には、過払い金が発生している可能性が高いことになります。
4. 過払い金の返還請求を成功させるためには、依頼者は何をする必要がありますか?
貸金業者から開示されてきた取引履歴(依頼者と貸金業者との間の取引経過の記録)の内容の正確性を検証するために、また、貸金業者から正確な取引履歴が開示されなかった時に過払い金を回収するために訴訟を提起した場合に貸金業者との間での取引の経過に関する事実を正確に主張し、その事実を裏付ける証拠を裁判所に提出するために、依頼者は以下の2点を行う必要があります。
- ① 各貸金業者との間の取引経過に関する事実(「取引開始日」「借入額」及び「返済額」などの事実)を具体的に思い出すこと。
- ② 各貸金業者との間の取引経過に関する事実を証明する証拠(「契約書」「領収書」など)を探すこと。
(なお、以上の点の詳細については「過払い金の返還請求・3、過払い金の返還請求を成功させるための条件」を御覧下さい。)
5. 契約書や領収書が見つからない場合、過払い金の返還請求を諦めなければなりませんか?
まず、顧客側から取引履歴(顧客と貸金業者との間の取引経過の記録)を開示するように請求された場合、貸金業者は保存してある全ての取引履歴を開示しなければならない法律上の義務を負担しています。
よって、依頼者が探し続けてみたが契約書や領収書が見つからなかったとしても、貸金業者が法律上の義務をきちんと守り取引当初からの正確な取引履歴を開示してきた場合には、その取引履歴から正確な過払い金の金額(依頼者と貸金業者との間の取引の経過を利息制限法の制限利率に引き直して算出した金額)を明らかにでき、また、その取引履歴が何よりの証拠となるため、契約書や領収書が見つからなくても、とりたてて問題なく過払い金の返還請求ができることになります。
次に、貸金業者が法律上の義務をきちんと守らずに取引当初からの正確な取引履歴を開示してこなかった場合についてですが、契約書や領収書の一部が残存している場合はもちろんのこと、契約書や領収書が全く見つからなかったとしても、そのことから直ちに過払い金の返還請求を諦める必要はありません。
貸金業者が取引当初からの正確な取引履歴を開示してこなかった場合、通常、訴訟を提起して過払い金の返還請求を行うことになります。そして、訴訟を提起した場合には、借主は、原則として、貸金業者との間での取引の経過に関する事実を正確に主張し、その事実を裏付ける証拠を裁判所に提出しなければなりません。
但し、借主側で完全に正確な事実(1円単位まで正確な取引の経過に関する事実)を主張して証明しなければ裁判に勝てないというわけでは必ずしもなく、事案にもよりますが、残存する一部の契約書や領収書などの証拠によって、主張した取引経過の事実に一定水準の合理性があることを証明できれば、裁判に勝てる可能性は決して低くはありません。
また、前記のとおり、そもそも貸金業者は保存してある全ての取引履歴を開示しなければならない法律上の義務を負担しているのであり、残存する一部の契約書や領収書などの証拠によって、貸金業者がこの法律上の義務に反して取引履歴を開示していないことを裁判上において証明できれば、貸金業者は取引当初からの正確な取引履歴を開示せざるを得なくなります。
さらに、貸金業者との間の取引経過の事実を裏付ける証拠は契約書や領収書に限らず、他にもたくさん考えられます。(例えば、銀行口座からの引き落としによって返済をしていた場合には記帳されている通帳などが証拠になります。また、友人や知人と一緒に貸金業者の支店などへ借入や返済をしに行ったことがある場合にはその友人・知人が証人になります。)
よって、契約書や領収書の一部が残存している場合はもちろんのこと、契約書や領収書が全く見つからなくても他の証拠によって貸金業者との間の取引経過の事実を証明できるのであれば、裁判に勝てる可能性はあるのであり、過払い金の返還請求を諦める必要はありません。
(但し、貸金業者が取引当初からの正確な取引履歴を開示してこず、契約書や領収書が全く無い状態で過払い金の返還請求の訴訟を提起する場合、「貸金業者との間の取引経過の事実を証明するために相当な時間と労力を消耗することになること。」及び「借主側が主張する取引経過の事実を裁判所が認めてくれない可能性もあること」を覚悟しなければなりません。よって、その場合には、「訴訟を提起するか、否か。」について、事前に専門家に相談することをお勧めします。)
なお、平成17年7月19日に「貸金業者が保存してある全ての取引履歴を開示しない対応は違法であり不法行為を構成する。」と明確に判示し、全取引履歴を開示しなかった貸金業者に「慰謝料」の支払いを命じる「最高裁判所判決」が下されました。 (なお、この「最高裁判所判決」は、「最高裁判所のHPの裁判例情報」により参照できます。)
この「最高裁判所判決」が下されて以降は貸金業者の対応も変わってきており、顧客側から取引履歴の開示を求められた場合、すぐに取引当初からの正確な取引履歴を開示してくる貸金業者も増えてきています。
よって、現在は、以前に比べて遙かに、契約書や領収書が見つからなくても、過払い金を回収することができやすくなってきています。
6. 借金を完済して消費者金融会社やクレジット会社との取引が既に終了しているのですが、過払い金の返還請求はできますか?
借金を完済して消費者金融会社やクレジット会社との取引が終了していても、その点については全く問題なく、過払い金の返還請求ができます。
但し、特段の事情がない限り、過払い金の返還は10年間が経過すると時効が成立して請求することができなくなってしまいますので注意してください。
7. 過払い金の返還請求は、必ず訴訟を提起することによって行われるのですか?
過払い金の返還請求については、貸金業者が取引当初からの正確な取引履歴(依頼者と貸金業者との間の取引経過の記録)を速やかに開示してきた場合には、特段の事情がない限り、返還する金額について交渉を重ねて貸金業者と和解をすることによって決着を付けることが通常です。
他方で、貸金業者が取引当初からの正確な取引履歴を開示してこなかったり、返還する金額について折り合いが合わず交渉が決裂した場合には、訴訟を提起して決着を付けることになります。
よって、過払い金の返還請求は、必ず訴訟を提起することによって行われるわけではなく、事案によっては、交渉によって決着を付けることになります。
8. 過払い金の返還請求について決着が付くまで、どのくらいの期間がかかるのですか?
過払い金の返還請求について決着が付くまでに要する期間についてですが、貸金業者が取引履歴を開示してこなかったりして徹底抗戦してくる場合には訴訟を提起して請求することになり、また、訴訟が長引くこともありえますから、必ずしも一概に判断することはできません。
但し、貸金業者が抵抗することもなく順調に手続が進んだ場合には、依頼がなされてから「約2ヶ月間」で和解が成立して手続が終了することもあります。
(注)平成17年7月19日に「貸金業者が保存してある全ての取引履歴を開示しない対応は違法であり不法行為を構成する。」と明確に判示する「最高裁判所判決」が下されてからは、顧客側から取引履歴の開示を求められた場合、すぐに取引当初からの正確な取引履歴を開示してくる貸金業者も増えてきています。よって、現在は、以前と比べて遙かに過払い金の返還請求について決着が付くまで時間が掛からなくなってきています。
9. 過払い金の返還請求をした場合、何かデメリットはありますか?
現在、過払い金の返還請求をしても、特段の事情がない限りは、信用情報機関に「事故情報」として登録されることはありません。
従いまして、過払い金の返還請求をしても、特段の事情がない限りは、デメリットはないといえます。
10. 過払い金の返還請求は、自分一人でできますか?
「過払い金の返還請求を自分一人でできるか、否か。」は、簡単にいいますと、法律上は可能であるが、現実には困難であるとおもわれます。
日常的に訴訟事件を山ほど抱えて処理している貸金業者と法律の素人である借主本人との間には、法律知識に差がありすぎるために、借主本人だけで過払い金の返還請求をしても、全く相手にされない可能性が高いと思われます。
(過払い金の返還請求に貸金業者が簡単に応じるのであれば、そもそも利息制限法を超える金利で営業するわけがありません。また、貸金業者から取引当初からの正確な取引履歴(借主本人と貸金業者との間の取引経過の記録)を開示させること自体、借主本人だけで請求しても困難を伴う可能性があります。)
専門家が代理人として介入しているからこそ、貸金業者は、約定利率による借金の請求を諦めて、取引当初からの正確な取引履歴を速やかに開示して、過払い金の返還に応じてくるのです。
自分一人で過払い金の返還請求を成功させることが絶対に不可能ということはなく、前例が全くないわけではありませんが、確実に過払い金を回収したいのであれば、専門家に依頼することをお勧めします。
なお、専門家に依頼をすれば、必ず、過払い金の返還請求を成功させることができるわけではありません。専門家の中には、1円でも多く過払い金を回収しようと時間と労力を惜しまずに粘り強く貸金業者と交渉をしたり、訴訟を提起することに躊躇をせずに「判決」によって解決を図ろうと努力をする専門家もいれば、他方で、安易に妥協して低額な金額で和解をすることによって決着を付けようとする専門家がいるのも事実です。また、それ以上にひどい専門家になると、利息制限法という法律の存在及び内容に関して依頼者に全く説明をせずに、貸金業者から全く過払い金を回収しようとしない専門家もいます。(そのような専門家に依頼した後で当事務所に相談に来て、利息制限法という法律の存在及び内容を初めて知った人も数多くいます。)さらにいえば、各貸金業者は、各専門家の「能力」や「実績」を見ながら、各専門家ごとに対応を変えて返還する過払い金の金額を決めたりしているのが「現実」です。
よって、過払い金の返還請求を専門家に依頼をする場合には、当該専門家の資質・能力にも充分に気をつけて下さい。(とくに、依頼をする際には、「過払い金」に関して具体的な説明を求めるようにして下さい。)
11. 過払い金の返還請求をするための費用はどのくらいかかるのですか?
過払い金の返還請求を専門家に依頼をする場合には、専門家に支払う「報酬」が掛かることになります。
そして、専門家の「報酬」については、現在、自由化されており、各専門家の事務所によって異なります。
ところで、専門家の「報酬」は「一括」で支払うことが原則ですが、どうしても「一括」で用意できない場合には、誠意をもって依頼者側が御願いすれば、専門家の方でも過払金の返還請求を考えている人がお金が無いことは分かっていることですので、「分割払い」等に応じてくれる専門家も少なくないと思われます。よって、どうしても「報酬」を「一括」で用意できない場合には誠意をもって専門家に相談してみて下さい。
なお、当事務所では、貸金業者から過払い金の回収が確実に見込まれる場合には、依頼時に報酬を支払うことなく、回収した過払い金で報酬を支払うことに応じています。
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