過払い金・借金整理の基礎知識
1.「グレーゾーン金利」・「過払い金」について
消費者金融会社、クレジット会社に対する借金を整理したり、過払い金の返還請求を行うにあたっては、いわゆる 「グレーゾーン金利」に関して理解することが重要になります。
そこで、ここでは、
- ①「利息制限法」
- ②「貸金業者が利息制限法の制限利率に反して営業を行っている理由」
- ③「貸金業者がみなし弁済規定の定める条件を満たしていないと判断する判例」
- ④「貸金業者にみなし弁済規定が適用されない場合の効果」
という4つの視点から「グレーゾーン金利」に関する説明をしておきますので、「借金の整理を考えている人」や「過払い金の返還請求を考えている人」は、何度も繰り返し読み見直して、しっかりと理解できるように努めて下さい。
元本の金額 | 利率 |
---|---|
10万円未満 | 年率20% |
10万円以上100万円未満 | 年率18% |
100万円以上 | 年率15% |
そして、「利息制限法」は「強行法規」(当事者間でこれに反する約束をしてもその約束は無効とされる法律)という法的な性格を有しています。つまり、「利息制限法」が定める制限利率を超える利息の契約が貸金業者と借主との間でなされたとしても、その制限利率を超えた部分の利息の合意は無効ということになります。
この点について具体例をあげて説明しますと、例えば、貸金業者から年率28%の契約で金50万円を借りた場合、「利息制限法」によれば元本10万円以上100万円未満の場合には年率18%まで利率が制限されますから、貸金業者は借主との間で契約した年率28%利息を受け取ることは許されず、年率18%までの利息しか受け取ることができなくなります。
よって、借主が1年間借り入れをした場合には、借入金額50万円の18%の金額である金9万円の利息だけを貸金業者に支払えばよく、契約利率の28%の金額である金14万円の利息を借主は貸金業者に対して支払う必要はないということになるのです。
(なお、借主が貸金業者からの請求に従い「利息制限法」の制限利率を超過して利息を支払った場合には、その超過している部分の返済金は元本に充当されることになります。
よって、上のケースにおいては、借主が借り入れてから1年後に約定利息金の金14万円を支払った場合には、その内の金9万円が利息への返済金となり、残りの金5万円は元本への返済金ということになります。)
但し、「利息制限法」は「刑事罰」を伴わない規定なため、貸金業者が利息制限法に反して金銭を貸付けても、そのことから直ちに貸金業者に「刑事罰」が科されることはありません。
この「利息制限法」という法律は、消費者金融会社、クレジット会社に対しての借金を整理していく上で最も重要な法律ですので、しっかりと理解しておくことが大切です。
② 貸金業者が利息制限法の制限利率に反して営業を行っている理由
「①」で説明しましたとおり、「利息制限法」という法律は貸金業者が受け取れる利息を年率15%~20%まで制限しています。
にもかかわらず、消費者金融会社、クレジット会社などの貸金業者は、新聞や雑誌、テレビのCMなどを通して、「利息制限法」の制限利率に反する年率27~28%前後の利率を公然と表示して営業をしています。
これは、一体どういうことなのでしょうか?
(この点については、「利息制限法」という法律の存在を知った人であれば、誰でも疑問に思うところであるとおもわれます。) これは、「出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締まりに関する法律第5条」(以下は「出資法第5条」といいます。)及び「貸金業の規制等に関する法律第43条」(以下は「みなし弁済規定」といいます。)という2つの法律の存在が関係しています。
まず、「出資法第5条」について説明しますと、この法律は貸金業者の金利を「刑事罰」をもって制限しています。
しかし、この法律には、貸金業者が「利息制限法」の制限利率を超えて金銭の貸し付けを行った場合に「刑事罰」を科すと定めているのではなく、貸金業者が「年率29,2%」を超えて金銭の貸し付けを行った場合に初めて「刑事罰」を科すと定めているだけなのです。(なお、「①」でも説明しましたとおり、「利息制限法」は「刑事罰」を伴わない規定なため、貸金業者が利息制限法に反して金銭を貸付けても、そのことから直ちに貸金業者に「刑事罰」が科されることはありません。)
つまり、法律上は、貸金業者が「利息制限法」の制限利率を超えて金銭を貸付けても、「出資法第5条」が定める制限利率の「年率29,2%」の範囲内で金銭を貸付けている限り、貸金業者に「刑事罰」が科されることはないということなっているのです。
次に、「みなし弁済規定」について説明しますと、この法律は「利息制限法」の制限利率の例外を定めています。 具体的には、貸金業者が一定の条件を満たして営業をしている場合には「利息制限法」が定める制限利率を超えて借主から利息を受領してもよいと「みなし弁済規定」は定めているのです。
この「みなし弁済規定」が定める各条件を簡単に説明しますと、
- 登録された貸金業者が営業として金銭を貸し付けたこと。
- 各貸付について、法律で定められた各事項を正確に記載した「契約書面」を貸金業者が借主に契約締結後、遅滞なく交付していること。
- 各返済について、法律で定められた各事項を正確に記載した「領収書」を貸金業者が借主にその都度、直ちに交付していること。
- 借主が利息制限法を超過する金銭を「利息」又は「損害金」として指定して支払ったこと。
- 借主が利息制限法を超過する金銭を「任意」に支払ったこと。
などです。
つまり、法律上は、この「みなし弁済規定」が定める各条件を貸金業者が全て満たして営業をしている限り、「利息制限法」の制限利率を超えて借主から利息を受け取ることができるということになっているのです。
以上のことから分かるように、消費者金融会社やクレジット会社は、この「出資法第5条」及び「みなし弁済規定」という法律を根拠にして「我々は、利息制限法の制限利率を超えて営業をしているが、出資法第5条の制限利率である「年率29,2%」の範囲内で営業をしているから「刑事罰」が課されることはない。
また、我々は「みなし弁済規定」が定める全ての条件を満たして営業をしているから、利息制限法の制限利率を超えて借主から利息を受け取ることができる。」ということを主張して、利息制限法の制限利率を超える年率27~28%前後の利率を公然と表示して営業をしているのです。
なお、この消費者金融会社やクレジット会社の契約金利、つまり、利息制限法の制限金利(年率15%~20%)と「出資法第5条」の制限金利(年率29,2%)の間の金利のことを「グレーゾーン金利(灰色金利)」と一般に呼ばれています。 これは、貸金業者に「みなし弁済規定」の適用が認められれば借主から受領することが許されるが、貸金業者に「みなし弁済規定」の適用が否定されれば受領することが許されない金利であり、すなわち「法的に借主から受領することが許されるのか?許されないのか?」・「法的に「白」なのか?「黒」なのか?」が、はっきりしない金利であることから「グレーゾーン金利(灰色金利)」と呼ばれているのです。
③ 貸金業者がみなし弁済規定の定める条件を満たしていないと判断する判例
「②」で説明しましたように、貸金業者は「我々は、みなし弁済規定が定める条件を全て満たして営業をしているから、利息制限法の制限利率を超えて借主から利息を受け取ることができる。」ということを主張して「グレーゾーン金利」で公然と営業をしています。
しかし、裁判上においては、全国各地の裁判所がこの貸金業者の「みなし弁済規定」に関する主張を悉く斥けて「貸金業者はみなし弁済規定の定める各条件を満たして営業をしていない。」と判断し、貸金業者の「利息制限法」の制限利率を超える利息の受領を認めていません。
そして、最高裁判所の判例においても、貸金業者の「みなし弁済規定」に関する主張を斥ける判例が、下記のとおり、近年相次いで出されています。
- 平成16年2月20日 最高裁判所 第二小法廷判決
(平成14年(受)第912号、平成15年(オ)第386号 不当利得返還請求事件) - 平成17年12月15日 最高裁判所 第一小法廷判決
(平成17年(受)第560号 不当利得返還請求事件) - 平成18年01月13日 最高裁判所 第二小法廷判決
(平成16年(受)第1518号 貸金請求事件) - 平成18年01月19日 最高裁判所 第一小法廷判決
(平成15年(オ)第456号、平成15年(受)第467号 貸金請求事件)
これらの最高裁判所の判例の全ては、「貸金業者がみなし弁済規定の定める各条件を満たしているかどうかについての判断は厳しく行わなければならない。」ということを明らかにし、「貸金業者はみなし弁済規定の定める各条件を満たして営業をしていない。」と判断して、貸金業者の「利息制限法」の制限利率を超える利息の受領を認めませんでした。(なお、これらの最高裁判所の判決は、「最高裁判所のHPの裁判例情報」により参照できます。)
以上の通り、現在の判例上においては「貸金業者はみなし弁済規定の定める各条件を満たして営業をしておらず、貸金業者の利息制限法の制限利率を超える利息の受領は認められない。」と判断しているのです。
つまり、「グレーゾーン金利」は無効であり、認められないことが裁判上において明らかにされているのです。
④ 貸金業者にみなし弁済規定が適用されない場合の効果
「③」で説明しましたとおり、貸金業者には「みなし弁済規定」が適用されず、「利息制限法」の制限利率を超える利息を受け取ることができないことが裁判上において明らかにされました。
では、借主が貸金業者からの請求に従い「利息制限法」の制限利率を超過して利息を支払っていた場合には、その後、どのような効果が生じるのでしょうか。
この点については「①」でも説明しましたように、利息制限法の制限利率を超過している利息部分の返済金については元本に充当されることになります。
この点について具体例をあげて説明しますと、例えば、貸金業者から年率28%の契約で金50万円を1年間借り入れた場合、利息制限法によれば元本10万円以上100万円未満の場合には年率18%まで利率が制限されますから、貸金業者は借主との間で契約した年率28%の利息を受け取ることは許されず、年率18%までの利息しか受け取ることができなくなります。
よって、借主は、1年後に、借入金額50万円の18%の金額である金9万円の利息だけを貸金業者に支払えばよく、契約年率の28%の金額である金14万円の利息を貸金業者に支払う必要はありません。
そして、仮に借主が貸金業者からの請求に従い約定利息金額の金14万円を支払ってしまった場合には、その内の金9万円だけが利息への返済金となり、残りの金5万円は元本への返済金ということになります。
つまり、その金14万円の返済後の貸金業者に対する借入金額の残高は「金45万円の元本のみ」ということになるのです。
そして、その後も、金45万円(元本)に年率18%の利息だけを借主は貸金業者に対して支払えばよいということになるのです。
(当然のことながら、借主がその金14万円の返済をした際、貸金業者は「みなし弁済規定」を根拠にその返済金の全ては利息の支払いであるから借入金額の残高は金50万円(元本)であると主張して、その後も金50万円に年率28%の利息を加算して借主側に請求をし続けますが、法律上、借主はその貸金業者からの請求を拒否することができるということなっているのです。)
なお、この「利息制限法の制限利率を超過している利息部分の返済金については元本に充当される。」ということから、以下のことが明らかになります。
消費者金融会社及びクレジット会社は概ね「年率28%前後」の利息で営業をしており、他方で利息制限法の制限利率は「年率18%前後」であり、借主は年間にして「年率10%前後」以上もの利息金を多めに支払っていることになる。
その多めに支払っている利息金は随時元本に充当されることになるから、その分、借入金額の残高(元本)は随時下がっていることになる。
長期間に渡って消費者金融会社及びクレジット会社に対して返済を行っている借主の場合には、大幅に借入金額の残高(元本)が下がっていることになり、場合によっては、借入金額の残高(元本)が無くなっており「完済」していることもありうることになる。
(なお、事案(取引の内容や約定利率)にもよりますが、計算上においては、貸金業者との間で取引が絶え間なく「約6年間」継続している場合には、借金の全額を「完済」している可能性が高いことになります。
「具体例」を挙げますと、仮に年率29.2%の約定利率で金50万円を借り入れて、その後、毎月、「約定の利息分」だけを返済し続けた場合(つまり、元本は1円も支払わずに利息だけの返済を続けた場合)には「5年5ヶ月間」で借金の全額が「完済」されていることになります。)
※ 以上にあげた「具体例」については「計算書」を参照(クリック)してみてください。
さらに長期間に渡って貸金業者に対して返済を行っている借主の場合には、借入金額の残高(元本)が無くなっており既に「完済」しているにもかかわらず返済を続けていることになり、払い過ぎたお金が発生するということになる。
(これが、いわゆる「過払い金」というものです。この「過払い金」については、「③」で紹介した最高裁判所の判決を含めて、全国各地の裁判所が「借主は貸金業者に対して過払い金の返還を請求することができる。」と判断する判決を相次いで下しています。)
まとめ
以上の「①~④」までに説明してきたことを簡単にまとめますと、貸金業者には「みなし弁済規定」が適用されず「グレーゾーン金利」(利息制限法の制限利率を超過する利息)は認められないことから、借主が消費者金融会社やクレジット会社に対して返済をしなけらばならない本当の借金の金額は、消費者金融会社やクレジット会社から請求されている金額(「約定利率」によって計算された金額)ではなく、取引を開始した当初から借主が返済をし続けてきた「グレーゾーン金利」への返済金を元本に充当して再計算された金額であるということになるのです。
そして、長期間に渡って貸金業者に対して返済を行っている借主の場合には、借入金額の残高(元本)が無くなって「完済」していることもあり、それどころか、既に「完済」しているにもかかわらず返済を続けている場合には「過払い金」が発生しており、その「過払い金」については貸金業者から取り返すことができるということになるのです。
※なお、HPを御覧になっている方が「裁判上、貸金業者に「グレーゾーン金利」が認められていないこと。」及び「依頼者が専門家と一緒になって本気で努力をすれば、貸金業者から「過払い金」が回収できること。」の理解を深めるために、当事務所の代表司法書士が借主の代理人として「訴訟」を提起して貸金業者から「過払い金」を回収した事件の「判決文」等を以下のとおりにご紹介しておきます。
2.「司法書士に依頼すれば貸金業者からの取り立てがすぐに止まること」について
「貸金業の規制等に関する法律」は、借主が司法書士や弁護士に借金の整理を依頼した場合、その依頼を受けた司法書士や弁護士が貸金業者へ「介入通知(依頼を受けた旨の通知)」を行った時点から、貸金業者が借主に対して正当な理由もなく電話・FAX・訪問等による直接的な取り立てを行うことを禁止しています。
そして、「貸金業の規制等に関する法律」は、司法書士や弁護士から「介入通知」がなされているにもかかわらず、貸金業者がこれを無視して正当な理由もなく借主に対し直接的な取立行為を続けた場合には、「1年以内の業務停止処分」という「行政処分」や「2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金」という「刑罰」の対象となることを定めています。
従って、借主が司法書士や弁護士に借金の整理を依頼し、依頼を受けた司法書士や弁護士が貸金業者へ「介入通知」を行った時点から、貸金業者からの借主に対する直接的な取立行為は通常止まり、その後は司法書士や弁護士の事務所に貸金業者は連絡してくるようになり、借主は貸金業者からの取り立てに悩まされることのない平穏な日常生活を取り戻すことができるようになれます。
このように専門家に依頼して「介入通知」を出してもらうと、すぐに貸金業者からの直接的な取立行為から解放され、借主は冷静な頭で今後の生活や借金の整理の方法を専門家と一緒になって考えることができる時間を得られるようになれるのです。司法書士や弁護士などの専門家に借金の整理を依頼するメリットは数多くありますが、「介入通知」を出してもらうことによって貸金業者からの直接的な取立行為をすぐに止めてもらえることが最大のメリットの一つといえるでしょう。
(注)なお、「十日で一割、十日で三割」などと「違法」に高額な利息を徴収したり、「脅迫」めいた取り立てをしている未登録の貸金業者(いわゆる「ヤミ金融」と呼ばれるもの)などは、そもそも法律を守って営業を行う意思がなく「違法」に取り立てを続けることがしばしばありますので、そのような「ヤミ金融」から借り入れがある場合には、専門家や警察などに御願いして別途取り立てを止めさせるための法的手段をとってもらう必要があります。
3.「借金を整理する主な方法」
法律上、借金を整理する方法は数多く存在しますが、個人の借金を整理する場合には、「自己破産」・「個人民事再生」・「任意整理」という3つの手続が主な方法として挙げられます。
(なお、「過払い金の返還請求」は、この3つの手続のいずれとも併せて行うことができます。)
この3つの手続には、それぞれ「利用条件・成功条件」や「メリット・デメリット」などの点において以下のような違いがあります。
なお、各手続の詳細については、それぞれのページを御覧下さい。
自己破産 | 個人民事再生 | 任意整理 |
---|---|---|
原則として、全ての借金の支払責任が免除されることになる。 | 原則として、手続終了後の3年間に渡って、減額された一定の金額を「分割」で支払い続けなければならない。 | 通常、利息制限法の制限利率に引き直し計算をして減額された後の借金の残額を「分割」又は「一括」で支払うことになる。 |
原則として、すべての財産を失うことになる。 | 特段の事情がない限り、「住宅」などの財産を手放すことなく、借金を整理することができる。 | 特段の事情がない限り、「住宅」などの財産を手放すことなく、借金を整理することができる。 |
現在及び将来において収入が全く無い人でも利用することができる。 | 「将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込み」がある人でなければ利用することができない。 | 返済資金を用意できる限り、現在及び将来において収入が全く無い人でも利用することができる。 |
債権者(貸金業者等)の同意を必要としない。 | 今後の返済計画案について、全ての債権者(貸金業者等)の同意を必要としない。 | 今後の返済計画案について、全ての債権者(貸金業者等)の同意を必要とする。 |
裁判上の手続である。従って、裁判所に出頭しなければならない。 | 裁判上の手続である。従って、裁判所に出頭しなければならない。 | 裁判上の手続ではない。従って、特段の事情がない限り、裁判所に出頭する必要はない。 |
借金を増大させた理由がギャンブルや浪費による場合、「免責不許可事由」にあたり、原則として借金の支払責任が免除されないことになる。 | 借金を増大させた理由がギャンブルや浪費による場合であっても、手続を成功させることができる。 | 借金を増大させた理由がギャンブルや浪費による場合であっても、手続を成功させることができる。 |
手続が成功するまでの間、一定の資格や法律上の地位に就くことを制限される。 | 手続中においても、一定の資格や法律上の地位に就くことを制限されない。 | 手続中においても、一定の資格や法律上の地位に就くことを制限されない。 |
手続が終了するまでの期間については、通常、 (Ⅰ)「同時破産廃止事件」の場合には、裁判所に申立書を提出してから「約4ヶ月~約6ヶ月」、 (Ⅱ)「管財事件」の場合には、裁判所に申立書を提出してから「約6ヶ月~約1年」。 |
手続が終了するまでの期間ついては、通常、裁判所に申立書を提出してから、「約7ヶ月~約8ヶ月」。 | 手続が終了するまでの期間については、必ずしも事前に予測をつけることができない。 |
(注)専門家がいかなる手続によって借金を整理すべきかについて判断を下す場合には、事案によっては、依頼者と何度も面談を重ねて事実関係を完全に把握した上で、依頼者の希望も含めて様々な点を考慮しながら最終的な判断を下すことが少なくありません。
これは、「自己破産」・「個人民事再生」・「任意整理」という3つの手続には、上記のとおり、様々な違いがあり、それぞれの手続に「メリット・デメリット」があることによります。
よって、いかなる手続によって借金を整理すべきかについては、必ずしも「即断」できるものではなく、また、必ずしも明確な基準を立てて形式的に判断できるものではありません。
「自分がどの手続を利用して借金を整理すべきか。」について最終的な判断を下す際には、事前に一度は専門家に相談することをお勧めします。
自己破産
- 原則として、全ての借金の支払責任が免除されることになる。
- 原則として、すべての財産を失うことになる。
- 現在及び将来において収入が全く無い人でも利用することができる。
- 債権者(貸金業者等)の同意を必要としない。
- 裁判上の手続である。従って、裁判所に出頭しなければならない。
- 借金を増大させた理由がギャンブルや浪費による場合、「免責不許可事由」にあたり、原則として借金の支払責任が免除されないことになる。
- 手続が成功するまでの間、一定の資格や法律上の地位に就くことを制限される。
-
手続が終了するまでの期間については、通常、
(Ⅰ)「同時破産廃止事件」の場合には、裁判所に申立書を提出してから「約4ヶ月~約6ヶ月」、
(Ⅱ)「管財事件」の場合には、裁判所に申立書を提出してから「約6ヶ月~約1年」。
個人民事再生
- 原則として、手続終了後の3年間に渡って、減額された一定の金額を「分割」で支払い続けなければならない。
- 特段の事情がない限り、「住宅」などの財産を手放すことなく、 借金を整理することができる。
- 「将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込み」がある人でなければ利用することができない。
- 今後の返済計画案について、全ての債権者(貸金業者等)の同意を必要としない。
- 裁判上の手続である。従って、裁判所に出頭しなければならない。
- 借金を増大させた理由がギャンブルや浪費による場合であっても、手続を成功させることができる。
- 手続中においても、一定の資格や法律上の地位に就くことを制限されない。
- 手続が終了するまでの期間ついては、通常、裁判所に申立書を提出してから、「約7ヶ月~約8ヶ月」。
任意整理
- 通常、利息制限法の制限利率に引き直し計算をして減額された後の借金の残額を「分割」又は「一括」で支払うことになる。
- 特段の事情がない限り、「住宅」などの財産を手放すことなく、借金を整理することができる。
- 返済資金を用意できる限り、現在及び将来において収入が全く無い人でも利用することができる。
- 今後の返済計画案について、全ての債権者(貸金業者等)の同意を必要とする。
- 裁判上の手続ではない。従って、特段の事情がない限り、裁判所に出頭する必要はない。
- 借金を増大させた理由がギャンブルや浪費による場合であっても、手続を成功させることができる。
- 手続中においても、一定の資格や法律上の地位に就くことを制限されない。
- 手続が終了するまでの期間については、必ずしも事前に予測をつけることができない。
なお、各手続の詳細については、それぞれのページを御覧下さい。
(注)専門家がいかなる手続によって借金を整理すべきかについて判断を下す場合には、事案によっては、依頼者と何度も面談を重ねて事実関係を完全に把握した上で、依頼者の希望も含めて様々な点を考慮しながら最終的な判断を下すことが少なくありません。
これは、「自己破産」・「個人民事再生」・「任意整理」という3つの手続には、上記のとおり、様々な違いがあり、それぞれの手続に「メリット・デメリット」があることによります。
よって、いかなる手続によって借金を整理すべきかについては、必ずしも「即断」できるものではなく、また、必ずしも明確な基準を立てて形式的に判断できるものではありません。
「自分がどの手続を利用して借金を整理すべきか。」について最終的な判断を下す際には、事前に一度は専門家に相談することをお勧めします。
〒901-3124
沖縄県島尻郡久米島町字仲泊1201番地 202