よくある質問
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Q.1、遺言書を作成しておかないと、どのようなトラブルが生じるのか?
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Q.3、専門家に遺言書の作成のサポートを依頼するメリットは?
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Q.5、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のどれにすべきか?
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Q.6、自筆証書遺言書は「全文」を「自書」しなければいけないのか?
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Q.10、どうしても財産を相続させたくない者がいるが、どうしたらよいのか?
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Q.17、遺言者が亡くなった後、遺言書に関して、相続人は最初に何をしなければいけないのか?
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Q.18、相続人が遺言の内容を実現することに協力してくれない場合、どうすればよいのか?
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Q.19、信託銀行などに遺言書の作成のサポートを依頼するメリット・デメリットは?
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Q.20、遺言と生前贈与のどちらの方法で財産を承継させたほうがよいのか?
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Q.1、遺言書を作成しておかないと、どのようなトラブルが生じるのか?
遺言書を作成しておかないと、被相続人(相続される人)が亡くなった後、下記のとおり、様々なトラブルが生じる可能性があります。
(1)予期していなかった者が財産を相続すること。
(2)口頭による遺言は効力が生じないこと。
(3)相続人の間で紛争(骨肉の争い)が生じること。
(4)自立できない家族の生活が破綻してしまうこと。
このようなトラブルが生じないようにするためにも、遺言書は必ず作成しておきましょう。
※ 上記の「トラブル」の詳細については「遺言書を作成していない場合のリスク」のページをご覧ください。
Q.2、遺言書を作成しても、トラブルは生じるのか?
遺言書を作成しても、適切に作成して、適切に管理をしておかないと、下記のとおり、日常的にトラブルが生じています。
(1)遺言が無効になるトラブル
(2)遺言書の内容が一義的に明らかでないことによるトラブル
(3)遺言書の内容が遺留分を侵害していることによるトラブル
(4)遺言書を適切に管理していなかったことによるトラブル
(5)遺言執行者を指定していないことによるトラブル
「見よう見まね」でとりあえず遺言書を作成して、「遺言書を作成したから、もう大丈夫だろう。」と思って油断した結果、遺言者の亡くなった後、日常的にトラブルが生じているのです。
遺言者の亡くなった後、トラブルが生じることなく、遺言の内容が確実かつ迅速に実現されるようにするために、生前に「万全な準備」をしておくことが大切です。
※ 上記の「トラブル」の詳細については「遺言書に関するトラブル」のページをご覧ください。
Q.3、専門家に遺言書の作成のサポートを依頼するメリットは?
専門家に遺言書の作成のサポートを依頼すれば、下記のとおり、様々なメリットを得られて、遺言者の亡くなった後、遺言の内容を確実かつ迅速に実現できるようになれます。
(1)「有効」な遺言書を作成できるメリット
(2)トラブルにならない遺言書を作成できるメリット
(3)法律的に整理されたスキのない遺言書を作成できるメリット
(4)遺言書を適切に管理できるメリット
(5)遺言の内容を確実に実現できるメリット
「遺言の内容が実現されるときには、遺言者は存在しないこと。」を踏まえて、油断することなく、遺言者の亡くなった後、トラブルが生じることなく、遺言の内容が確実かつ迅速に実現されるようにするために、「万全な準備」を生前にしておくことが大切です。
※ 上記の「メリット」の詳細については「専門家にサポートの依頼をするメリット」のページをご覧ください。
Q.4、専門家に依頼する際に注意することは?
専門家(法律家)が取り扱える業務は広範囲にわたっており、各専門家には「得意分野」と「必ずしも得意でない分野」があります。
また、各専門家には、「日常的に行っている業務」や「必ずしも日常的に行っていない業務」があります。
さらにいえば、専門家にも能力差などの違いもあります。
(例えば、お医者さんに関していうならば、内科の先生や外科の先生がいたり、心臓専門の先生や胃腸専門の先生がいたり、耳鼻科の先生や眼科の先生がいたりすることと同じように、専門家(法律家)には、「得意分野」と「必ずしも得意でない分野」があったり、「日常的に行っている業務」や「必ずしも日常的に行っていない業務」があったり、能力差などの違いもあります。)
専門家が遺言書の作成のサポート業務を遂行する場合、依頼者から「遺言者の亡くなった後、トラブルが生じることなく、遺言の内容を確実かつ迅速に実現させること。」という目的を果たすことが要求されます。
その要求に応えるためには、遺言に関する法律や判例に精通していることはもちろん、相当程度の能力などが必要になります。
つまり、どの専門家に依頼しても結果が同じであるというわけではありません。
以上のとおり、遺言書の作成のサポートの依頼をする場合には、「遺言書の作成のサポート業務を積極的に行っている専門家」に依頼したほうがよいでしょう。
この点、「遺言書の作成のサポート業務を積極的に行っている専門家」の見分ける方法については、「実際に専門家と話しをして質問をすること。」が一番の方法といえます。
なお、それ以外の方法を強いて指摘するならば、下記のとおりになるのではないかと思われます。
(1)「遺言書の作成のサポートの依頼」だけではなく、「遺言書の管理の依頼」及び「遺言執行者の就任の依頼」も積極的に受けている専門家であるのか?
(これにより、「専門家自身に「自分が関与して作成された遺言書」について最後まで責任をもって対応する意思や覚悟などがあるのか?」を判断できます。)
(2)当該専門家のHPに遺言書に関する情報がどれだけ多く掲載されているのか?
とくに、「納得できる情報」や「信頼できる情報」がどれだけ多く掲載されているのか?
(これにより、「専門家の能力・知識量・熱量」などを判断できます。)
Q.5、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のどれにすべきか?
自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のいずれにも、特有のメリット・デメリットがあります。
よって、遺言者が重要視する「メリット」と「デメリット」のバランスによって、「どの方式で遺言するか?」を決めるべきだとおもわれます。
つまり、「どのメリットを重視して、どのデメリットを覚悟するのか?」によって、「どの方式で遺言するか?」を決めるべきだとおもわれます。
※ 各遺言書のメリット・デメリットについては、各遺言書のページをご覧下さい。
なお、参考までに、「どの方式で遺言するか?」を決める際に注意すべき点を、下記のとおり、挙げておきます。
(1)公正証書遺言のデメリットは、専門家に遺言書の作成のサポートを依頼すれば回避できること。
公正証書遺言の場合、遺言者には、「公証人との打ち合わせ」「公証人から指示された資料の収集」及び「2人以上の証人を用意すること。」などの負担がかかります。
この点、専門家に遺言書の作成のサポートを依頼すれば、それらのことの全ては専門家が代わりに行ってくれますので、遺言者にかかる負担を無くすことができます。
また、専門家に遺言書の作成のサポートを依頼すれば、守秘義務がある専門家自身が証人になるなどの対応をして、「遺言書の存在や内容」が漏れないように最大限の配慮をしますので、「遺言書の存在や内容」が漏れることを防ぐことができます。
(2)実務上、秘密証書遺言は、あまり利用されていないこと。
秘密証書遺言は、「遺言書の内容を秘密にすることができること。他方で、遺言書の存在を公共の機関に記録として残せること。」に最大のメリットがあるといえます。
しかし、「遺言書の存在」を公共の機関に記録として残せても、遺言者が「遺言書の原本」を管理しなければならず、依然として「紛失や消失のリスク」が生じます。また、「相続人などによる隠匿・廃棄などのリスク」も生じます。
この点を踏まえて、「遺言書の存在を公共の機関に記録として残せることだけでは不充分であり、秘密証書遺言には大きなメリットはない。」と考える方が多いといえます。
そして、公正証書遺言の場合、専門家などの秘密を守ってくれる人に証人になってもらえば、遺言書の内容が漏れることを回避できますから、一旦は秘密証書遺言をすることを考えた人でも、最終的には公正証書遺言をする人が多いといえます。
以上のことから、実務上、秘密証書遺言は、あまり利用されておりません。
ただし、秘密証書遺言が全く利用されていないというわけではなく、「遺言書の内容を秘密にすることができること。他方で、遺言書の存在を公共の機関に記録として残せること。」というメリットを重要視する方であれば、有力な遺言の方式といえます。
Q.6、自筆証書遺言書は「全文」を「自書」しなければいけないのか?
自筆証書遺言の場合、遺言者が遺言書の「全文」を「自書」しなければなりません。 また、「日付」及び「氏名」も「自書」しなければなりません。
ただし、2018年7月6日の民法改正により、2019年1月13日から「財産目録(不動産の表示などの財産に関する詳細な情報を記載した書面)」については「自書」でなくてもよいことになりました。
Q.7、印鑑は「実印」でなければならないか?
自筆証書遺言の場合、印鑑は、「実印」でもなくてもよく、認印でも、拇印でもよいとされています。
ただし、遺言者の真意に基づいて遺言していることを、より一層に明らかにするためにも、「実印」を使用すべきです。
公正証書遺言の場合及び秘密証書遺言の場合には、特段の事情のない限り、「実印」でなければなりません。
Q.8、遺言書を封筒に入れる必要はあるか?
自筆証書遺言の場合、法律上、遺言書を封筒に入れたり、封印(遺言書を封じたことの証拠として印を押すこと。)をすることは要求されておりません。
ただし、遺言書の内容を秘密にしたい場合はもちろん、遺言書が偽造や変造されたりするリスクや遺言書が汚損するリスクを回避するためには、遺言書を封筒に入れて封印をしておいたほうがよいといえます。
(なお、封印がなされている遺言書は、法律上、家庭裁判所において相続人などの立ち合いのもとでなければ開封できないことになっており、家庭裁判所以外の場所で遺言書を開封した場合、「過料の制裁」が科されることがあります。)
公正証書遺言の場合、法律上、遺言書の正本や謄本を封筒に入れたり、封印をしておくことは要求されておりません。
なお、公正証書遺言の場合、遺言書の原本は公証役場に保管されます。
秘密証書遺言の場合には、法律上、遺言書を封筒に入れた上で封印をしなければなりません。
Q.9、遺留分減殺請求がなされることを回避する方法は?
遺言者が亡くなった後に遺言遺留分減殺請求がなされることを回避する方法としては、下記の方法が挙げられます。
(1)遺留分に配慮した遺言書を作成すること。
(2)遺言者の生前に遺留分の放棄をしてもらうこと。
※「遺言遺留分減殺請求がなされることを回避する方法」の詳細については、「遺留分・9、遺留分減殺請求がなされることを回避する方法」のページをご覧下さい。
Q.10、どうしても財産を相続させたくない者がいるが、どうしたらよいのか?
(1)相続人にならない場合
第1に、どうしても財産を相続させたくない者が相続人ではない場合には、そもそも相続する権利が認められません。
例えば、どうしても財産を相続させたくない者が親や兄弟の場合、被相続人(相続される人)に子供がいれば、特段の事情のない限り、親や兄弟は相続人にはなりません。
第2に、本来であれば相続人になれる人でも、他の相続人を死亡するに至らせようとしたり、詐欺や強迫によって被相続人に遺言をさせたり、遺言書を偽造や変造をした場合には、その人は相続人になることができません。(相続人の欠格)
第3に、本来であれば相続人になれる人(遺留分が認められる人)が、被相続人に対して虐待したり、重大な侮辱を加えたり、著しい非行をした場合には、被相続人は家庭裁判所に「その人の相続する権利を剥奪すること。」を請求できます。(相続人の廃除の請求)
この「相続人の廃除の請求」は、被相続人が亡くなる前でも行うことができますし、遺言によって行うこともできます。
※「誰が相続人になるのか?」などの詳細については、「相続手続のHP」の「相続人の調査」のページを参照してください。
(2)相続人にはなるが、遺留分が認められない場合
どうしても財産を相続させたくない相続人が、遺留分が認められない人であった場合(兄弟姉妹や姪っ子や甥っ子の場合)であれば、遺言書によって、「どうしても財産を相続させたくない相続人には一切相続させない。」または「他の相続人に全ての財産を相続させる。」という趣旨の遺言書を作成すればよいことになります。
※「遺留分の権利者」などについては、「遺留分・3、遺留分の権利者」をご覧ください。
(3)遺留分が認められる相続人の場合
どうしても財産を相続させたくない相続人に遺留分が認められる場合、その相続人の同意がない限り、「完全に財産を相続させない。」という方法はありません。
ただし、遺留分を侵害する遺言や生前贈与を行っても有効に成立します。
また、遺留分減殺請求を行う権利は、遺留分の権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与や遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅します。
さらに、遺留分減殺請求を行う権利は、相続の開始から10年を経過したときにも消滅します。
よって、どうしても財産を相続させたくない相続人に遺留分が認められる場合、その相続人の遺留分を無視する遺言や生前贈与を行うことも一つの方法ではあります。
これにより、遺言者が亡くなった後、一定期間が経過すれば目的を達成できますし、仮に遺留分減殺請求がなされても、相続させる範囲を遺留分額の範囲(法定相続分の半分以下)に抑えることができます。
以上のとおり、どうしても財産を相続させたくない者がいる場合の対処方法などをご紹介しましたが、どうしても財産を相続させたくない相続人に遺留分が認められる場合、遺言者の亡くなった後のトラブルを回避するために、可能であれば、その相続人と話し合って、「遺留分額に相当する財産を生前贈与すること。」などによって納得してもらった上で、遺言者の亡くなる前に遺留分を放棄してもらうことをお勧めします。
※「遺留分の放棄」の詳細については、「遺留分・7、遺留分の放棄について」をご覧下さい。
Q.11、遺言執行者の指定は必要か?
① 遺言書を作成しても、当然のことながら、遺言者が亡くなった後は遺言者は存在しませんから、「遺言者に代わって遺言の内容を実現する人」が必要になります。
この点、特段の事情のない限り、相続人が遺言の内容を実現するために必要な行為をすることができますが、相続人が遺言の内容に不満な場合、積極的に協力しなかったり、遺言の内容の実現を妨害してくることもあります。
(例えば、預貯金を遺贈した場合、遺言者の死亡後に預貯金の払い戻しをするにあたって、銀行などの金融機関から「相続人全員が印鑑証明書を提出した上で必要書類に実印で押印すること。」が要求されることがありますが、一部の相続人から拒否されるケースが起きています。
また、土地や建物を遺贈した場合、遺言書の死亡後に土地や建物の名義変更をするにあたって、法務局から「相続人全員が印鑑証明書を提出した上で必要書類に実印で押印すること。」が要求されますが、一部の相続人から拒否されるケースが日常的に起きています。)
② そこで、法律上、遺言書によって、予め「遺言執行者(遺言の内容を実現するために必要な行為を行う人)」を指定することができます。
遺言執行者は、法律上、相続財産を管理しながら遺言の内容を実現するために必要な行為をする権利及び義務を有します。
(なお、遺言執行者は、相続人の同意を得ることなく、遺言の内容を実現するために必要な行為をすることができます。
例えば、土地や建物を遺贈した場合や預貯金を遺贈した場合などには、「相続人の押印」や「相続人の印鑑証明書」は不要となり、「遺言執行者の押印」と「遺言執行者の印鑑証明書」だけが必要になります。)
また、遺言者執行者がいる場合には、相続人は、相続財産を処分したり、遺言の内容の実現を妨げる行為が禁止されます。
(仮に、遺言者執行者がいるにもかかわらず、相続人が、相続財産を処分したり、遺言の内容の実現を妨げる行為をした場合、その相続人の行為は無効になります。)
以上のとおり、遺言執行者が選任されている場合、遺言者が亡くなった後、遺言の内容を確実に実現することができます。
③ なお、「認知」「相続人の廃除」「相続人の廃除の取り消し」など遺言の内容によっては、制度上、相続人では遺言の内容を実現するために必要な行為をすることができないことになっており、遺言者執行者だけしかすることができない場合もあります。
④ ところで、遺言の内容を実現するといっても、その内容は複雑で難解な作業も多く、法律上の知識が要求されることが少なくありません。
また、「一部の相続人の相続分を少なくする遺言の場合」や「相続財産の範囲や帰属などで争いがある場合(「遺言者の所有物であるのか?」などについて争いがあった場合)」、遺言執行者は相続人と対立することもあります。
つまり、遺言執行者は、遺言の内容を実現するにあたって、「法律上の根拠を示しながら、相続人を説得すること。」を求められる場合があり、最終的には「訴訟の当事者」として対応することもあります。
「相続財産である現金を相続人に渡す。」などの単純な作業であればともかく、一般の人にとっては、遺言執行者になって遺言の内容を実現することは困難である場合が少なくありません。
この点、司法書士や弁護士などの専門家に遺言執行者の就任の依頼をすれば、遺言者の亡くなった後、より確実かつ迅速に遺言の内容を実現することができます。
Q.12、遺言書の内容を決める際に注意すべきことは?
遺言書の内容を決める際に注意すべきことはいろいろありますが、その中でもとくに注意すべきことを挙げますと、以下のとおりになります。
(1)遺言書の内容を決める際のポイント
遺言書の内容を決める際のポイントを指摘しておきますと、以下の3点となります。
- 「遺言者の希望どおりに財産を承継させること。」
- 「残された人の生活が破綻しないように財産を承継させること。」
- 「一部の相続人に不満を抱かせて紛争にならないように財産を分配すること。」
従って、この3点を考慮しながら遺言書を作成することが重要になります。
しかし、この3点は、場合によっては、その中の1点を重視すると、他の点が実現できなくなるという性質(矛盾衝突する性質)をもっております。
つまり、「この3点を適切に調整すること。」が遺言書の内容を決める上で最も難しいところといえます。
そこで、
(一)「財産の配分の理由(一部の相続人の相続分が多いことなどの理由)」や「遺言者の希望」を記載して、各相続人に納得してもらうように付記をしておくこと。
(二)残された者の生活の面倒などを第3者に委ねるために、「Aに財産を遺贈する。ただし、Aは財産の遺贈を受けることの負担として、Bが死亡するまで同居して扶養すること。」などの負担付きの遺贈を記載したり、信託銀行などに財産を信託する内容を記載すること。
(三)相続人間で紛争が生じないようにするために、各相続人の遺留分(遺言などによっても奪うことができない最低限度の相続できる分)に配慮をした形で財産を分配する内容にすること。
などの「創意工夫」をして、「説得力のあるスキのない遺言書の完成」を目指すことが重要になります。
(2)遺言書の事実上の効果
人間は(とくに日本人にいえることとおもわれますが)、「亡くなった人の言葉や考えはできる限りを尊重しよう。」と考える傾向があります。
さらにいえば、「亡くなった人の言葉や考えは正しい。」と考える傾向があるといえます。
また、遺言書は、「遺言者が亡くなった後に相続人が読むもの」であります。
この点、遺言書に「兄弟仲良く暮らして欲しい。」「子供達全員でお母さんの面倒を最後まで見てほしい。」「この土地は先祖代々からの土地である。この土地を粗末に扱ったり、この土地に関して兄弟で争うことなど、ご先祖様も許さないはずである。」などと「遺言者の希望や考え」を書いておくと、相続人は遺言の内容(各相続分など)に少しくらい不満を感じたとしても遺言の内容に従う傾向があるといえます。
このように遺言書は、「遺言者が生前に伝えていた言葉」よりも、「相続人に対して説得力があるもの」になります。
つまり、遺言書は、法律上は相続人を拘束しない記載内容であっても、「事実上において相続人を拘束する」という効果があります。
遺言書の内容を決める際には、この「遺言書の事実の効果」をも考慮しながら、「説得力のあるスキのない遺言書の完成」を目指すことが重要といえます。
(3)遺言書によって「人間の最終的な評価」が決まること。
人間の評価は死後に決まるといいます。
生前に周りの人達からどんなに立派な評価をされていたとしても、遺言書の内容次第では周りの人達からの評価が大きく下がってしまったり、場合によっては恨まれることもありえます。
つまり、遺言書は「人間の最終的な評価(真価)」を決めてしまうものともいえます。
従って、遺言書は、周りの人達が納得するように、「周りの人達全員を説得する視点で書くべきもの」ともいえるのです。
以上のとおり、遺言書を作成することは、「人生の集大成」ともいえる作業なのです。
Q.13、遺言書を作成した後に注意することは?
遺言書を作成した後に注意べきことは数多くありますが、その中でもとくに注意すべきことを挙げますと、以下の4点になります。
(1)遺言書を適切に保管すること。
遺言書を作成しても、遺言書を紛失や消失や汚損をしてしまったら、遺言の内容が実現されない可能性が生じます。
また、遺言書の内容によって相続する財産が減少される相続人が、遺言書を偽造したり、隠したり、廃棄したりすることも考えられます。
この点、公正証書遺言の場合には公証役場が遺言書の原本を保管してくれることから、このようなリスクを回避できるといえますが、公正証書遺言以外の場合には、司法書士や弁護士などの信頼できる人に遺言書を預ける対策をとるなど、「遺言書を適切に保管すること。」に注意すべきです。
(2)遺言者の死亡後に遺言書が確実かつ迅速に発見される体制をとっておくこと。
遺言者の死亡時に遺言者がそのまま残存していても、遺言者が亡くなった後に遺言書が確実かつ迅速に発見されないと、遺言の内容を確実かつ迅速に実現させることができません。また、相続人間でトラブルが生じる可能性が生じます。
例えば、遺言者が亡くなってから何年も経過した後に遺言書が発見された場合のトラブルです。
この場合、遺言者が亡くなった後、遺言書が存在しないことを前提として相続人間で遺産分割の協議が行われることになります。
そして、一旦は、その遺産分割の協議の結果どおりに財産が相続されます。
その後、遺言書が発見されると、法律上、特段の事情がない限り、既になされた遺産分割協議が無効になり、遺言の内容どおりに財産が承継されることになります。
しかし、遺産分割協議の結果によって財産を相続した者が目的物を既に処分していたり、既に消費していた場合には、遺言の内容どおりに財産を承継させることには大きな障害が伴います。
その結果、遺言の内容を実現させることができないだけでなく、「一旦相続した財産を返還できない相続人が遺言書の効力を争ってくること。」などのトラブルが生じる可能性が生じます。
以上のとおり、遺言者の死亡後、トラブルがなく、遺言の内容を確実かつ迅速に実現させるためには、遺言者の死亡後に遺言書が確実かつ迅速に発見される体制をとっておくことが必要です。
(3)遺言執行者に「遺言者が死亡したこと。」の連絡が速やかになされる体制をとるっこと。
遺言書で遺言執行者(遺言の内容を実現する人)が指定されている場合、遺言執行者に「遺言者が死亡したこと。」の連絡が速やかになされないと、遺言の内容を迅速に実現させることができません。
よって、遺言執行者に「遺言者が死亡したこと。」の連絡が速やかになされる体制をとっておくことが必要です。
(4)遺言書の内容を定期的に見直すこと。
遺言書の内容を決める際のポイントを指摘しておきますと、以下の3点となります。
- 「遺言者の希望どおりに財産を承継させること。」
- 「残された人の生活が破綻しないように財産を承継させること。」
- 「一部の相続人に不満を抱かせて紛争にならないように財産を分配すること。」
従って、この3点を考慮しながら遺言書を作成することが重要になります。
しかし、この3点は、場合によっては、その中の1点を重視すると、他の点が実現できなくなるという性質(矛盾衝突する性質)をもっております。
つまり、「この3点を適切に調整すること。」が遺言書の内容を決める上で最も難しいところといえます。
そこで、遺言者が、専門家などのサポートを受けながら、時間を掛けて考え抜いて、この3点を適切に調整した「説得力のあるスキのない遺言書」を完成したとします。
しかし、その後、「相続財産の増減」「相続財産の価値の増減」「相続人や受遺者(遺贈を受ける人)の生活状況の変化」「相続人や受遺者の死亡」「相続人や受遺者(遺贈を受ける人)との人間関係の良好又は悪化」「新たに遺贈したい者が現れた。」など、遺言の全部又は一部を撤回・変更すべき事情が生じることがよくあります。
つまり、既に完成させた「説得力のあるスキのない遺言書」が、その後の事情の変更によって、「説得力のないスキがある遺言書(相続人などを混乱させる遺言書)」になってしまうことが少なくありません。
そのため、遺言書を作成した後、遺言書の内容を定期的に見直すことが重要になります。
Q.14、遺言書を保管する上で注意することは?
遺言書を保管する上でとくに注意すべきことを挙げますと、以下の2点になります。
(1)遺言書を封筒に入れて封印して保管すること。
自筆証書遺言の場合、法律上、遺言書を封筒に入れたり、封印(遺言書を封じたことの証拠として印を押すこと。)をすることは要求されておりません。
ただし、遺言書の内容を秘密にしたい場合はもちろん、遺言書が偽造や変造されたりするリスクや遺言書が汚損するリスクを回避するためには、遺言書を封筒に入れて封印をしておいたほうがよいといえます。
(なお、封印がなされている遺言書は、法律上、家庭裁判所において相続人などの立ち合いのもとでなければ開封できないことになっており、家庭裁判所以外の場所で遺言書を開封した場合、「過料の制裁」が科されることがあります。)
公正証書遺言の場合、法律上、遺言書の正本や謄本を封筒に入れたり、封印をしておくことは要求されておりません。
また、公正証書遺言の場合、遺言書の原本は公証役場に保管されます。
ただし、公正証書遺言の場合でも、遺言書の内容を秘密にしたいのであれば、遺言書の正本や謄本を封筒に入れて封印をしておくことも、一つの手段ではあります。
秘密証書遺言の場合には、法律上、遺言書を封筒に入れた上で封印をしなければなりません。
(2)遺言者の死亡後に遺言書が確実に発見される場所で保管すること。
遺言書が作成時の状態を維持できる場所で保管することが重要なのは当然のことでありますが、仮に遺言者の死亡時に遺言書が作成時の状態で残存していても、遺言者が亡くなった後に遺言書が確実に発見されないと、遺言の内容を確実に実現させることができません。
従って、遺言者が亡くなった後に遺言書が確実に発見される場所で保管することが重要になります。
この点、銀行などの貸金庫で遺言書を保管した上で、そのことを一部の相続人などに伝えておくことも一つの方法ではあります。
しかし、遺言者の死亡後に貸金庫を開けるためには原則として相続人全員の同意が必要になりますので、「特定の相続人に他の相続人の同意などを必要とすることなく財産を相続させる。」という「遺言書の実益」が無くなってしまう可能性が生じます。
よって、このような実益を無視できない場合には、専門家などの信頼できる第3者に遺言書を保管してもらったほうがよいといえます。
Q.15、遺言書を紛失してしまった場合、どうすればよいか?
公正証書遺言の場合、公証役場が遺言書の原本を保管しています。 従って、遺言書の正本や謄本を紛失しても、公証役場に遺言書の謄本の再発行の請求をすればよいことになります。
これに対して、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、遺言書を紛失した場合、新たに同じ内容の遺言書を作成する必要があります。
なお、新しく作成する遺言書は、前の遺言書と同じ種類の遺言書でなくてもかまいません。
また、新しく遺言書を作成した後に前の遺言書が発見された場合には、偽造や変造のリスクなどを考えて、前の遺言書は焼却処分をしておくべきです。
Q.16、遺言書を撤回・変更したい場合、どうすればよいか?
遺言は、「遺言者の最終的な意思」を確認して実現するためのものですから、遺言者は、いつでも自由に遺言の内容の全部又は一部を撤回したり、変更することができます。
この点、法律により定められている「遺言の撤回・変更する方法」については、下記のとおり、複数の方法があります
(1)遺言を撤回・変更する内容の遺言書を作成すること。
(2)前の遺言書と抵触する内容の遺言書を作成すること。
(3)生前に遺言書の内容と抵触する処分などをすること。
(4)遺言書を故意に破棄すること。
(5)遺贈の目的物を故意に破棄すること。
(6)自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合の遺言書上の記載を変更する方法
※「遺言の撤回・変更する方法」の詳細については、「遺言の撤回・変更・2、遺言を撤回・変更する方法」をご覧下さい。
なお、遺言の内容を変更したり、撤回をすると、「遺言書が複数になること。」などによって、相続人間で混乱やトラブルが生じ易くなります。
例えば、第1の遺言書で「Aに甲土地を相続させる。」という遺言をした後、第2の遺言書で「Bに甲土地を相続させる。」という遺言をした場合、Aは、第2の遺言書の無効を主張したり、第2の遺言書を廃棄したり、隠したりすることなどが考えられます。
また、実務上、遺言書の中には法律上の方法によらずに遺言書上の記載を訂正しているものが多く、遺言者の死亡後にトラブルとなるケースが少なくありません。
よって、遺言の内容を変更したり、撤回をする場合には、紛争の種を残さないようにするために、撤回する遺言書を完全に破棄(焼却処分)した上で、新しく遺言書を作成することを心掛けるべきといえます。
とくに、重要な部分を変更したい場合には(「遺贈する相手の名前」や「相続させる財産の金額」などを変更したい場合には)、新たに遺言書を作り直すべきです。
Q.17、遺言者が亡くなった後、遺言書に関して、相続人は最初に何をしなければいけないのか?
遺言者が亡くなった後、遺言書に関して、相続人が最初にしなければいけないことは、以下のとおりです。
(1)検認の申立て
法律上、遺言書(公正証書の遺言書を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならないことになっています。
また、法律上、封印がなされている遺言書は、家庭裁判所において相続人などの立ち合いのもとでなければ開封できないことになっております。
よって、遺言者が亡くなった後、当該遺言書が公正証書の遺言書でない場合、又は、遺言書が封印されている場合には、「遺言書の保管者又は遺言書を発見した人である相続人」は家庭裁判所に「検認の申立て」をしなければなりません。
※「検認」の詳細については、「相続手続のHP」の「検認」のページを参照してください。
(2)遺言執行者などに「遺言者が死亡したこと。」の連絡を行うこと。
遺言書によって遺言執行者(遺言の内容を実現する人)に指定されている人が就任を承諾した場合、相続人に代わって、遺言者執行者が相続財産を管理して遺言の内容を実現するために必要な行為をすることになります。
従って、遺言書によって遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者に「遺言者が死亡したこと。」の連絡を速やかに行う必要があります。
また、遺言書によって「遺言執行者を指定すること。」を第3者に委託されていた場合、その第3者から指定された人が就任を承諾すると、相続人に代わって、遺言者執行者が相続財産を管理して遺言の内容を実現するために必要な行為をすることになります。
従って、遺言書によって「遺言執行者を指定すること。」を第3者に委託されていた場合、その第3者に「遺言者が死亡したこと。」の連絡を速やかに行う必要があります。
(3)遺言執行者の選任の申立てをすること。
遺言書で遺言執行者が指定されていなかったり、遺言執行者に指定されていた人が就任を辞退したりして、遺言執行者が就任していない場合には、特段の事情のない限り、相続人が相続財産を管理して遺言の内容を実現するために必要な行為をすることになります。
ただし、相続人が家庭裁判所に遺言執行者の選任の申立てをすれば、遺言執行者が選任されます。
この場合、遺言執行者が、相続人に代わって、相続財産を管理して遺言の内容を実現するために必要な行為をすることになります。
よって、相続人が遺言の内容を実現するために必要な行為をすることに支障がある場合などには、家庭裁判所に遺言執行者の選任の申立てを検討する必要があります。
Q.18、相続人が遺言の内容を実現することに協力してくれない場合、どうすればよいのか?
相続人が遺言の内容を実現することに協力してくれない場合の対処方法については、下記のとおり、場合を分けて説明します。
(1)遺言執行者が就任している場合
遺言書によって遺言執行者(遺言の内容を実現する人)に指定されている人が就任を承諾した場合、遺言執行者が遺言の内容を実現するために必要な行為をすることになります。
よって、遺言執行者が就任している場合、相続人が遺言の内容を実現することに協力してくれなくても、遺言執行者に遺言の内容を実現することを求めればよいことになります。
(2)遺言執行者が就任していない場合
遺言書で遺言執行者が指定されていなかったり、遺言執行者に指定されていた人が就任を辞退したりして、遺言執行者が就任していない場合には、特段の事情のない限り、相続人が遺言の内容を実現するために必要な行為をすることになります。
しかし、相続人が遺言の内容に不満を抱いている場合などには、積極的に協力しなかったり、遺言の内容の実現を妨害してくることもあります。
この点、利害関係人(相続人・遺贈を受けた人・遺言者に対する債権者など)が家庭裁判所に遺言執行者の選任の申立てをすれば、遺言執行者が選任されます。
この場合、遺言執行者が、相続人に代わって、遺言の内容を実現するために必要な行為をすることになります。
よって、相続人が遺言の内容を実現することに協力してくれなくても、家庭裁判所に遺言執行者の選任の申立てをすればよいことになります。
Q.19、信託銀行などに遺言書の作成のサポートを依頼するメリット・デメリットは?
最近、信託銀行などが「遺言書の作成のサポート業務」や「遺言執行業務(遺言の内容を実現する業務)」を行っていることの広告を目にすることがよくあります。
この点、「遺言書の作成のサポート業務」や「遺言執行業務」を司法書士や弁護士などの専門家に依頼した場合と比較すると、信託銀行などに依頼することの「メリット・デメリット」は、以下のとおりになります。
(1)メリットについて
① 結論から先に述べますと、信託銀行などに依頼することのメリットは、「遺言書の作成のサポート業務」や「遺言執行業務」を司法書士や弁護士などの専門家に依頼した場合と比較すると、ほとんどないともいえます。
② 信託銀行などの担当社員は、国家資格をもった専門家ではありません。
つまり、信託銀行などの担当社員のアドバイスは、よほど優秀な人でない限り、「法律の素人+α」程度の回答になり、専門家レベルの回答を期待できません。
そのため、信託銀行などの担当社員からのアドバイスに従った結果、後日、トラブルになったケースもあります。
また、信託銀行などに「遺言執行業務」を依頼した場合、土地や建物の名義変更については簡単なアドバイスをされただけで司法書士を紹介されて外注することになりますし、相続税の申告なども税理士を紹介されて外注することになります。
結局、始めから専門家に依頼していた方が話しが早く、また、その方が信託銀行などに支払う報酬(紹介料に準じるような報酬)を回避できます。
③ この点、強いて信託銀行などに依頼することのメリットを挙げるとするならば、信託銀行などというイメージ・ブランドからくる信用力・安心感などが考えられます。
しかし、これらのことも、信頼できる専門家に依頼すれば得られるものです。
④ 以上のとおり、司法書士や弁護士などの専門家に依頼した場合と比較すると、信託銀行などに依頼することのメリットはほとんどないともいえます。
(2)デメリットについて
① 信託銀行などに依頼することのデメリットは、何と言っても、「報酬が高い。」ということです。
② 信託銀行などに依頼した場合、通常、「遺言書の作成のサポート業務」だけで「約30万円」の報酬を請求されます。
また、「遺言執行者業務」を併せて信託銀行などに依頼した場合、通常、基本報酬(最低報酬)として「約100万円」、歩合の報酬として「遺産総額の0.3%~2%」程度が請求されます。
さらに、信託銀行などに支払う報酬とは別に、土地や建物の名義変更を伴えば司法書士報酬が発生することになりますし、相続税の申告を伴えば税理士報酬が発生することになります。
つまり、信託銀行などに依頼した場合、よほどのお金持ちでなければ、「はい。そうですか。」と言って簡単に支払うことができない費用がかかることになります。
③ 以上のとおり、「遺言書の作成サポート業務」や「遺言執行業務」を司法書士や弁護士などの専門家に依頼した場合と比較すると、信託銀行などに依頼することのメリットはほんどなく、「報酬が高い。」という大きなデメリットがあり、費用対効果で割に合わないともいえます。
「遺言書の作成サポート業務」や「遺言執行者業務」については、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することをお勧めします。
Q.20、遺言と生前贈与のどちらの方法で財産を承継させたほうがよいのか?
「遺言によって財産を承継させる方法」と「生前贈与によって財産を承継させる方法」のいずれにも、特有のメリット・デメリットがあります。
よって、「財産の承継を考えている方」が重要視する「メリット」と「デメリット」のバランスによって、「どちらの方法で財産を承継させるのか?」を決めるべきといえます。
つまり、「どのメリットを重視して、どのデメリットを覚悟するのか?」によって、「どちらの方法で財産を承継させるのか?」を決めるべきだといえます。
(ちなみに、一般的には、「相続税と贈与税のどちらが安くなるのか?」という点を重視する人が多いといえます。)
なお、とくに注意すべき点を参考までに指摘しておきますと、「遺言はいつでも撤回することができるが、生前贈与は撤回することが困難である。」ということです。
遺言は、遺言者が、いつでも自由に遺言の内容の全部又は一部を撤回したり、変更することができます。
他方で、生前贈与の場合、贈与契約書などの書面を作成していたり、「目的物の引き渡し」や「名義変更」などを済ませてしまった場合には、特段の事情がない限り、撤回することができません。
この点、贈与者が亡くなるまでの間、「贈与者の財産の減少(または、財産価値の減少)」「贈与者や相続人などの生活状況の変化」「贈与を受けた人との人間関係の悪化」「新たに贈与したい者が現れた。」など、生前贈与を撤回したくなる事情が発生する可能性があります。
従って、生前贈与は、「撤回することができないことを前提に行うべきもの」ともいえますので、遺贈(遺言による贈与)の場合よりも、慎重に行った方がよいといえます。
Q.21、生前贈与をする際に注意すべきことは?
生前贈与をする際に注意すべきことを挙げますと、以下の5点になります。
(1)遺留分に配慮すること。
(2)「特別受益の持ち戻しの免除の意思表示」をすること。
(3)税金
(4)契約書を作成することの重要性
(5)生前贈与は撤回することが困難であること。
なお、とくに注意すべき点を参考までに指摘しておきますと、生前贈与は、「撤回することができないことを前提に行うべきもの」ともいえますので、遺贈(遺言による贈与)の場合よりも、慎重に行った方がよいといえます。
※「生前贈与をする際に注意すべきこと。」の詳細については、「生前贈与」のページをご覧下さい。
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