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① 「住宅」の所有を維持するために個人民事再生によって借金の整理に成功した事例 (静岡県在住の男性・Aさん・37歳)
当事務所に相談に来る前のAさんの生活状況
Aさんは中規模の不動産販売会社に勤務する会社員で、33歳の時に子供が生まれたのを機に、奥さんと話し合った結果、それまで夫婦でためていた貯金のほぼ全部を頭金として費やし、残りの代金については30年の住宅ローンを組んでマンションを購入しました。もともとまじめな性格だったAさんでしたが、住宅ローンを組んでからはより一層にまじめに働き続けていました。故に、贅沢はできませんでしたが、住宅ローン以外に借金をすることもなく、また、毎月の住宅ローンの返済に困るということもなく、家族三人で平穏な生活を送っていました。
そのように平穏な生活を送っていたAさんでしたが、36歳になってから間もない日に、突然、自宅に商工ローン会社から約1300万円を請求する「通知書」が内容証明郵便で送られてきました。その商工ローン会社からの「通知書」には「約1300万円を直ぐに支払えないのであればAさんに対して法的措置をとる。」と書かれていました。
訳が分からないAさんは、「通知書」に書かれていた商工ローン会社に電話をして事の詳細を聞きました。すると、商工ローン会社から、「借主であるAさんの元同僚が自己破産をしたため、残っている借金の全額(約1300万円)の支払責任は連帯保証人であるAさんに現在ある。当社としては、現在、Aさんに対する法的措置の準備中であり、これを止めさせたいのであれば、残っている借金の全額(約1300万円)を直ぐに支払って欲しい。」という趣旨の回答がなされました。
その回答を聞いて、Aさんは、2年前に家族ぐるみで付き合いのあった会社の元同僚から「絶対に迷惑はかけないから。契約書に署名して押印するだけだから。」という言葉と共に何度も頼まれて断り切れず契約書に署名・押印したことを思い出し、自分がその元同僚の借金の連帯保証人として商工ローン会社から責任を追及されていることを理解しました。
その後、すぐに、Aさんはその元同僚に連絡をとり、会って説明を求めると、その元同僚から「何度も自己破産をすることをAさんに伝えようと思っていたが、申し訳なくてなかなかできなかったこと。」「元同僚が自営していた不動産会社は倒産し、現在、無収入であること。」「今回迷惑をかけたことは、今後、一生かけても償うこと。」などの説明がなされました。会う前は元同僚に騙されたと思い腹が立っていたAさんでしたが、その説明により、元同僚はAさんを騙していた訳ではなく、また、元同僚は現在無収入で今後の生活もどうなるか分からないギリギリの立場に追い込まれていることを理解しました。また、泣きながら土下座して謝る元同僚の姿を見て、これ以上に元同僚を責めてもしょうがなく、Aさんは、すぐにでも今後のことについて考えることが重要であることを悟りました。
そして、奥さんと話し合った結果、今後、Aさんが残業を増やしたり、奥さんがパートに出る時間を増やしたとしても、住宅ローンの返済を抱えている自分たちの力だけでは約1300万円もの借金を返済することは不可能であることを悟り、自宅のマンションを手放すことも覚悟して、専門家に相談することを決意し、知人の紹介で、当事務所に相談に来ました。
当事務所に相談に来てから個人民事再生の手続を開始するまで
まず、当事務所に相談に来るのと同時に、借金を整理することの正式な依頼がAさんからなされたため、当事務所はすぐに商工ローン会社に「電話」をして「Aさんの借金の整理の依頼を受けたこと」「今後は、Aさんに対して直接的な取立行為を厳に慎むこと」及び「Aさんに関する取引履歴(Aさんと貸金業者との間の取引の経過の記録)を速やかに開示すること」を「口頭」で通告し、その日のうちに「配達証明郵便付」で「受任通知」を郵送しました。
(なお、Aさんには住宅を所有し続けたい意思があったため、この時点では住宅ローン会社に対して当職が受任した旨の通知は行わず、Aさんには住宅ローンについてはそのまま返済を続けるように指示しました。
これは、後に「住宅資金特別条項」を利用して個人民事再生の申し立てをすることになったとしても住宅ローンの全額を支払うことには変わりがないため返済を中断することにほとんど意味がなく、他方で、住宅ローンについてはそのまま約定どおりに返済を続けたほうが遅延損害金の発生を防ぐことができるなど、依頼者にとって不利益な事態が生じることを回避することができるからです。)
次に、Aさんの現在の生活状況などをお聞きすると、
- ① Aさんの借金は「住宅ローン」と「商工ローン会社に対する約1300万円(利息制限法による引き直し計算後は、約1200万円)」だけであること
- ② Aさんの今後の商工ローン会社に対する返済可能額(Aさん及び奥さんの収入の合計額から生活費を引いた金額)は、一ヶ月あたり約7万円前後であること
- ③ Aさんの主な財産は、自宅のマンション(オーバーローン状態)、自動車(購入後10年経過)、預貯金、生命保険解約返戻金、及び、退職金で、それらの評価額の合計は約200万円であること
- ④ Aさん夫妻は、できることなら自宅のマンションを手放さずに借金を整理することを強く希望していること
- ⑤ Aさんの「可処分所得の2年分の合計額」(Aさんの収入から所得税・住民税・社会保険料及び政令が定めた最低限の生活を維持するための費用を引いた金額の2年分)は、約250万円であること
ということが明らかになりました。
そこで、当事務所としては、以上の「①~⑤」を踏まえて、個人民事再生(住宅資金特別条項付き給与所得者等再生手続)によって自宅マンションの所有を維持しながら借金を整理することをAさんに勧めました。また、手続が成功すれば、住宅ローンについてはそのまま約定どおりに支払い続け、他方で、商工ローン会社に対しては毎月・約7万円を向こう3年間に渡って合計・約250万円を支払うことで、全ての借金を整理できることを併せて説明しました。
そして、当事務所に相談に来る前には自宅のマンションを手放すことも覚悟していたAさん夫妻でしたので、何の迷いもなく個人民事再生(住宅資金特別条項付き給与所得者等再生手続)によって借金を整理することを決意しました。
なお、本件に関しては、Aさんはサラリーマンであるため「小規模個人再生手続」及び「給与所得者等再生手続」のいずれの手続も利用することができますが、当事務所としては、Aさんに「給与所得者等再生手続」を利用することを勧めました。
これは、
- (Ⅰ)本件においては、「小規模個人再生手続」を利用した場合、その手続の性質上、住宅ローン以外の唯一の債権者である商工ローン会社から今後の返済計画案(これを「再生計画案」といいます。)について反対されるとその時点で手続きが失敗に終わることになり、他方で「給与所得者等再生手続」を利用した場合には、その手続の性質上、商工ローン会社から「再生計画案」について反対されても手続を成功させることができること
- (Ⅱ)本件においては、「小規模個人再生手続」を利用した場合の「最低弁済額」(法律が定める「手続終了後に各債権者(貸金業者等)に支払わなければならない合計額の最低金額」)は約240万円であり、他方で、「給与所得者等再生手続」を利用した場合の「最低弁済額」は約250万円であり、いずれの手続によっても「最低弁済額」がほとんど変わらないこと
という以上の2点から、「小規模個人再生手続」を利用した場合に商工ローン会社から「再生計画案」について反対されて手続が失敗に終わるリスクを回避することを重視して、本件については「給与所得者等再生手続」を利用すべきと考えたからです。
個人民事再生の申立てから手続の終了まで
まず、「住宅資金特別条項」を利用して個人民事再生の申し立てをする場合には、手続上、事前に「今後の住宅ローンの返済方法」について住宅ローン会社と協議することが要求されます。そこで、Aさん夫妻の生活状況から特に住宅ローンの返済方法については変更する必要がなかったため、住宅ローン会社に「個人民事再生の申し立てをすること」及び「住宅ローンについては今後も返済方法を変更することなく約定どおりに支払い続けること」を通知し、了承を得ました。
(なお、本件に関しては住宅ローン会社からの了承を得られましたが、住宅ローン会社からの了承を得られなくても、「住宅資金特別条項」を利用して個人民事再生の申し立てをすることはできます。)
そして、裁判所に申立書を提出した約1ヶ月後に裁判官との面接の日(審尋の期日)が指定されました。
その面接の際には、個人再生委員も出席しており、裁判官から申立書に記載されている事実に関して聞かれると供に、個人再生委員からも今後提出する再生計画案の内容に関して聞かれ、それらについて答えると、面接は無事に終了しました。
その後の手続も問題なく進み、面接の日から約3ヶ月間が経過した頃に「住宅ローンの返済方法については、今後も変更することがなく約定どおりに返済を続けること」及び「住宅ローン以外の債権については、毎月・約7万円を向こう3年間に渡って合計・約250万円を支払うこと」を内容とする「再生計画案」を裁判所に提出しました。
提出した「再生計画案」が「Aさんにとって返済可能なものであること」及び「それ以外にも、とくに不備がないこと」が裁判所及び個人再生委員から認められて、提出した約2ヶ月後に、裁判所から「再生計画の認可決定」が下され、それから更に約1ヶ月後に確定しました。
以上の通り、裁判所に申立書を提出してから約7ヶ月後に個人民事再生の手続の全てが無事に終了し、Aさんの借金の支払責任を軽減させることに成功しました。
なお、個人民事再生の手続の期間中においては、原則として申立人は各債権者(貸金業者等)に対して返済をすることが禁止されていますが、例外的に住宅ローンについては裁判所の許可を得れば支払うことができ、これにより住宅ローンについて遅延損害金の発生を防ぐことができます。よって、本件においても、手続の期間中、Aさんは裁判所の許可を得て住宅ローンの返済を続けていました。
その後のAさん
Aさんの個人民事再生の手続が無事に終了した翌月から商工ローン会社に対する返済が開始されました。
そして、Aさんは、現在も滞ることなく住宅ローンの返済と共に商工ローン会社に対して毎月・約7万円を支払い続けています。
当事務所に相談にきた時には自宅のマンションを手放すことも覚悟していたAさんでしたが、個人民事再生の手続によって自宅のマンションを手放さずに借金を整理することができたことから、心にも余裕ができて、保証人にさせられた元同僚に対する感情も収まり、安易に保証人になった自分が世間知らずで愚かだったのだと思えるようになりました。
毎月の商工ローン会社に対する返済をするときには、「この7万円の支払いは人生勉強の授業料なのだ。」と思いながらAさんは返済を続けているそうです。
Aさんが個人民事再生をしたことによって得られた経済的利益
個人民事再生をする前のAさんの借金の状況 | |
---|---|
元金の総額(1社分) | 約1300万円 |
利息 | 年利29・2% (年間にして合計約380万円) |
個人民事再生をした後のAさんの借金の状況 (住宅ローンを除く) | |
---|---|
元金の総額(1社分) | 約250万円 |
利息 | 無 |
毎月の返済額の合計(1社分) | 約7万円 |
個人民事再生をしたことにより失った財産 | 特に無し |
② 自己破産の資格制限を回避するために個人民事再生によって借金の整理に成功した事例 (神奈川県在住の女性・Bさん・29歳)
当事務所に相談に来る前のBさんの生活状況
Bさんの実家は飲食店で、Bさんが子供の頃からBさんの両親が経営していました。しかし、4年前から経営状態が悪化し、Bさんの両親は運転資金を用意するために消費者金融会社からも借り入れを重ねるようになってしまいました。そして、Bさんの両親は、自分達がどこからも借り入れができなくなると、Bさんに頼み込んで自分達の代わりに消費者金融会社から運転資金を借り入れてもらうようになりました。
もともとは専業主婦だったBさんでしたが、両親の代わりに借り入れた消費者金融会社に対する借金を返済するために、約1年前から大手の生命保険会社に生命保険募集員として働き始めました。人と接することが好きで積極的な性格だったBさんは、徐々に仕事のコツをつかみ、順調に仕事を覚え続けていきました。また、時間に融通が利き子育ての合間に仕事ができることから、生命保険募集員の仕事を気に入り、このままずっと続けていこうと思いました。
しかし、Bさんが両親の代わりに借り入れた金額が約350万円以上になった頃に、Bさんの両親はお店を畳んで自己破産をすることになりました。これにより、今後、両親の代わりに借り入れた消費者金融会社に対する借金を返済していくのに、Bさんは両親の収入を当てにすることができなくなりました。また、Bさんの御主人は年齢が若いこともあり、Bさんの御主人の収入だけでは家族3人暮らしていくことが精一杯で、Bさんの借金の返済にまわせるような余裕はありませんでした。
結局、両親の代わりに借り入れた約350万円以上の借金をBさんは自分の収入だけで返済しなければならなくなりました。
借入先が高金利の消費者金融会社であるため、Bさんの手取りの月収の約12万円をそのまま約350万円の借金の返済にあてたとしても、毎月の利息の支払いになるだけで元本はほとんど減りません。
そのことに気付いたBさんは、御主人とも話し合った結果、自分たちの力だけでは約350万円もの借金を完済することは不可能であることを悟り、自己破産をすることも覚悟して、専門家に相談することを決意し、知人の紹介で、当事務所に相談に来ました。
当事務所に相談に来てから個人民事再生の申立てをするまで
まず、当事務所に相談に来るのと同時に、借金を整理することの正式な依頼がBさんからなされたため、当事務所はすぐに各消費者金融会社に「電話」をして「Bさんの借金の整理の依頼を受けたこと」「今後は、Bさんに対して直接的な取立行為を厳に慎むこと」及び「Bさんに関する取引履歴(Bさんと貸金業者との間の取引の経過の記録)を速やかに開示すること」を「口頭」で通告し、その日のうちに「配達証明郵便付」で「受任通知」を郵送しました。
次に、Bさんの現在の生活状況などをお聞きすると、
- ① Bさんの借金は「消費者金融会社に対する約350万円(利息制限法による引き直し計算後は、約300万円)」だけであること
- ② Bさんの御主人の収入だけで家族3人は生活していくことはできることから、Bさんの今後の返済可能額はBさんの収入である月12万円であること
- ③ Bさんの主な財産は、自動車、及び、預貯金だけで、それらの評価額の合計は約60万円であること
- ④ Bさんは、生命保険募集員の仕事を気に入っており、このままずっと続けていきたいこと
- ⑤ Bさんの「可処分所得の2年分の合計額」(Bさんの収入から所得税・住民税・社会保険料及び政令が定めた最低限の生活を維持するための費用を引いた金額の2年分)は、Bさん自身の収入が低いため、「0円」となること
ということが明らかになりました。
そこで、当事務所としては、以上の「①~⑤」を踏まえ、生命保険募集員の仕事をこのままずっと続けていきたいBさんの意思が強いことを重視して、自己破産ではなく個人民事再生(給与所得者等再生手続)によって借金を整理することをBさんに勧めました。
また、自己破産をした場合には生命保険募集員の資格が制限され手続の期間中に限るがその仕事を止めなければならないこと、個人民再生(給与所得者等再生手続)によれば生命保険募集員の資格が制限されることもなく手続の期間中においてもその仕事を続けることができること、及び、手続が成功した場合には今後は各消費者金融会社に対して毎月・合計・約2万7800円を向こう3年間に渡って総合計・約100万円を支払うことで全ての借金を整理できることを併せて説明しました。
そして、当事務所に相談に来る前には自己破産を覚悟していたBさんでしたが、一時的でも生命保険募集員の仕事を止めたくなかったこと、及び、毎月・約2万7800円を向こう3年間に渡って支払い続けさえすれば自己破産を避けられることから、何の迷いもなく個人民事再生(給与所得者等再生手続)によって借金を整理することを決意しました。
なお、本件に関しては、Bさんの給与は「基本給プラス歩合給」という形で支払われていましたが、入社してから給与の変動の幅がほとんど変わらなかったため、「小規模個人再生手続」及び「給与所得者等再生手続」のいずれの手続も利用することができました。
そこで、当事務所としては、Bさんに「給与所得者等再生手続」を利用することを勧めました。
これは、
- (Ⅰ)「小規模個人再生手続」を利用した場合、その手続の性質上、各債権者(貸金業者等)から今後の返済計画案(これを「再生計画案」といいます。)について反対されるとその時点で手続が失敗に終わることになるが、「給与所得者等再生手続」を利用した場合には、その手続の性質上、各債権者から「再生計画案」について反対されても手続を成功させることができること
- (Ⅱ)本件においては、Bさんの「可処分所得の2年分の合計額」が「0円」であるため、「小規模個人再生手続」を利用した場合でも「給与所得者等再生手続」を利用した場合でも「最低弁済額」(法律が定める「手続終了後に各債権者(貸金業者等)に支払わなければならない合計額の最低金額」)が全く変わらず、いずれの手続を利用しても「最低弁済額」が約100万円であったこと
という以上の2点から、「小規模個人再生手続」を利用した場合に各債権者から「再生計画案」について反対されて手続が失敗に終わるリスクを回避すべく、本件については「給与所得者等再生手続」を利用すべきと考えたからです。
個人民事再生の申立てから手続の終了まで
裁判所に申立書を提出した約1ヶ月後に裁判官との面接の日(審尋の期日)が裁判所から指定されました。
その面接の際には、個人再生委員も出席しており、裁判官から申立書に記載されている事実に関して聞かれると供に、個人再生委員からも今後提出する再生計画案の内容に関して聞かれ、それらについて答えると、面接は無事に終了しました。
(なお、その際に、Bさんが勤めを開始してから約1年間しか経過していないこと、また、Bさんの給与が「基本給プラス歩合給」という形で支払われていたことなどから、「給与の変動の幅が小さいこと」を確認するために、個人再生委員から、手続が終了するまでの間、給与明細書のコピーを毎月提出することを求められ、その後、Bさんは毎月提出しました。)
その後の手続も問題なく進み、面接の日から約3ヶ月間が経過した頃に「各消費者金融会社に対して毎月・合計・約2万7800円を向こう3年間に渡って総合計・約100万円を支払うこと」を内容とする「再生計画案」を裁判所に提出しました。
提出した「再生計画案」が「Bさんにとって返済可能なものであること」及び「それ以外にも、とくに不備がないこと」が裁判所及び個人再生委員から認められて、提出した約2ヶ月後に、裁判所から「再生計画の認可決定」が下され、それから更に約1ヶ月後に確定しました。
以上の通り、裁判所に申立書を提出してから約7ヶ月後に個人民事再生の手続の全てが無事に終了し、Bさんの借金の支払責任を軽減させることに成功しました。
なお、個人民事再生の手続の期間中においては、原則として申立人は各債権者(貸金業者等)に対して返済することが禁止されています。よって、本件においても、手続の期間中、各債権者への返済は全て中断していました。
その後のBさん
Bさんの個人民事再生の手続が無事に終了した翌月から各消費者金融会社に対する返済が開始されました。
そして、Bさんは、現在も滞ることなく、毎月、各消費者金融会社に対して合計・約2万7800円を支払い続けています。
当事務所に相談にきた時には自己破産をすることも覚悟していたBさんでしたが、個人民事再生の手続によって生命保険募集員の仕事を中断することもなく続けることができ、会社からの信用を失わずに済んだことを大変喜んでいました。
これからも生命保険募集員の仕事を続けていく予定だそうで、日々、子育ての合間を縫って、頑張っているそうです。
Bさんが個人民事再生をしたことによって得られた経済的利益
個人民事再生をする前のBさんの借金の状況 | |
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元金の総額(8社分) | 約350万円 |
利息 | 年利25・5%~年利29・2%(年間にして合計約100万円) |
毎月の返済額の合計(8社分) | 約15万円 |
個人民事再生をした後のBさんの借金の状況 | |
---|---|
元金の総額(8社分) | 約100万円 |
利息 | 無 |
毎月の返済額の合計(8社分) | 約2万7800円 |
個人民事再生をしたことにより失った財産 | 特に無し |
③ ギャンブルや浪費による借金を個人民事再生によって整理した成功事例(千葉県在住の男性・Cさん・27歳)
当事務所に相談に来る前のCさんの生活状況
Cさんは、高校を卒業してから建設会社の作業員として働いていました。そして、21歳になって間もない頃に職場の仲間に誘われて競馬場に行き、その時に大勝ちしたのを機に、Cさんは無類の競馬好きになってしまいました。それからというものは、週末に競馬場に行くことはもちろんのこと、暇さえあれば平日にも競馬場に行くような生活を送るようになってしまいました。当然、給料の大半を競馬に使うようになり、給料だけでは足らなくなると、消費者金融会社やクレジット会社からも借り入れるようになってしまいました。
その後、消費者金融会社やクレジット会社が簡単に融資することもあり、Cさんの借金の総額はものすごい勢いで増え続けていきました。そして、毎月の返済額が自分の給料だけでは足らなくなってしまい、消費者金融会社やクレジット会社への返済金を用意するために消費者金融会社やクレジット会社から借り入れを重ねるという自転車操業状態に陥り、益々、Cさんの借金の総額は増え続けていき、気が付くと自動車のローンなども含めると約650万円以上もの金額になってしまいました。
その頃には、既に限度額まで借り入れているためにどこの消費者金融会社やクレジット会社からも融資を受けられなくなってしまい、他方で、返済が遅れると消費者金融会社やクレジット会社からの取り立ての電話が一日に何十回もかかってくるような状態になってしまいました。
このままでは返済できないと思ったCさんは、悩んだ末に、両親に相談しました。
しかし、Cさんの両親も、約650万円をすぐに用意できるほどに生活に余裕がありませんでした。
そこで、Cさんの両親は、友人に相談したところ、その友人から専門家に相談することを勧められ、Cさんと共に当事務所に相談に来ました。
当事務所に相談に来てから個人民事再生の申立てをするまで
まず、当事務所に相談に来るのと同時に、借金を整理することの正式な依頼がCさんからなされたため、当事務所はすぐに各貸金業者に「電話」をして「Cさんの借金の整理の依頼を受けたこと」「今後は、Cさんに対して直接的な取立行為を厳に慎むこと」及び「Cさんに関する取引履歴(Cさんと貸金業者との間の取引の経過の記録)を速やかに開示すること」を「口頭」で通告し、その日のうちに「配達証明郵便付」で「受任通知」を郵送しました。
次に、Cさんの現在の生活状況などをお聞きすると、
- ① Cさんの借金の合計は約650万円であること(担保権付きの自動車をローン会社に返還し、そして、利息制限法による引き直し計算をした後は約450万円)
- ② Cさんの今後の返済可能額(Cさんの収入の合計額から生活費を引いた金額)は、一ヶ月あたり約10万円前後であること
- ③ Cさんの主な財産は、担保権付きの自動車だけであり、それも担保割れしているため、全く財産を有していないこと
- ④ Cさんの借り入れの理由の大半が「ギャンブル」や「浪費」によるものであることから「免責不許可事由」にあたり、Cさんが自己破産をすることは必ずしも容易ではないこと
- ⑤ Cさんはもちろん、Cさんのご両親が自分の子供が自己破産をすることは何としてでも避けたいと強く願っていること
- ⑥ Cさんの「可処分所得の2年分の合計額」(Cさんの収入から所得税・住民税・社会保険料及び政令が定めた最低限の生活を維持するための費用を引いた金額の2年分)は、Cさんが独身であることなどから「約180万円」となること
ということが明らかになりました。
そこで、当事務所としては、以上の「①~⑥」を踏まえ、Cさん及びCさんのご両親がCさんが自己破産をすることは何としてでも避けたいと強く願っていること、及び、Cさんの借り入れの理由の大半が「ギャンブル」や「浪費」によるものであることから「免責不許可事由」にあたりCさんが自己破産をすることは必ずしも容易ではないことを重視して、自己破産ではなく個人民事再生(小規模個人再生)によって借金を整理することをCさんに勧めました。
また、個人民事再生の手続上は借金を増大させた理由が「ギャンブル」や「浪費」であっても特に問題にされないこと、及び、個人民事再生(小規模個人再生)の手続が成功した場合には各債権者に対して毎月・合計・約2万7800円を向こう3年間に渡って総合計・約100万円を支払うことで全ての借金を整理できることを併せて説明しました。
そして、当事務所に相談に来る前には自己破産をすることだけは避けたいと願っていたCさん及びCさんのご両親でしたので、自己破産をすることなく全ての借金を整理できることを聞いて、何の迷いもなく個人民事再生によって借金を整理することを決意しました。
なお、本件に関しては、Cさんは給与所得者であったため、「小規模個人再生手続」及び「給与所得者等再生手続」のいずれの手続も利用することができますが、当事務所としては、Cさんに「小規模個人再生手続」を利用することを勧めました。
これは、
- (Ⅰ)本件においては、「小規模個人再生手続」を利用した場合の「最低弁済額」(法律が定める「手続終了後に各債権者(貸金業者等)に支払わなければならない合計額の最低金額」)は約100万円となる。他方で、Cさんが独身で手取りの月収が約25万円であることなどから「可処分所得の2年分の合計額」が「約180万円」となり、「給与所得者等再生手続」を利用した場合の「最低弁済額」は約180万円となる。故に、「小規模個人再生手続」を利用した方が「給与所得者等再生手続」を利用した場合よりも遙かに「最低弁済額」を低く押さえることができること
- (Ⅱ)「小規模個人再生手続」を利用した場合、その手続の性質上、各債権者(貸金業者等)から今後の返済計画案(これを「再生計画案」といいます。)について反対されるとその時点で手続が失敗に終わることになり、本件においても、小規模個人再生手続を利用した場合にそのようなリスクを負うことになる。しかし、Cさんが借り入れた貸金業者は、当事務所が集積した過去のデーターから判断すると、「再生計画案」に反対することは無いと予想される貸金業者ばかりであったこと
- (Ⅲ)仮に、「小規模個人再生手続」が失敗に終わっても、その後、「給与所得者等再生手続」を改めて利用することができ、これにより、自己破産をすることが避けられること
という以上の3点から、本件に関しては「小規模個人再生手続」を利用すべきと考えたからです。
個人民事再生の申立てから手続の終了まで
裁判所に申立書を提出した約1ヶ月後に裁判官との面接の日(審尋の期日)が裁判所から指定されました。
その面接の際には、個人再生委員も出席しており、裁判官から申立書に記載されている事実に関して聞かれると供に、個人再生委員からも今後提出する再生計画案の内容に関して聞かれ、それらについて答えると、面接は無事に終了しました。
その後の手続も問題なく進み、面接の日から約3ヶ月間が経過した頃に「各債権者(貸金業者等)に対して、毎月・合計・約2万7800円を向こう3年間に渡って総合計・約100万円を支払うこと」を内容とする「再生計画案」を裁判所に提出しました。
提出した「再生計画案」が「Cさんにとって返済可能なものであること」及び「それ以外にも、とくに不備がないこと」が裁判所及び個人再生委員から認められて、裁判所から「書面決議に付する旨の決定」が下されました。そして、各債権者(貸金業者等)に「再生計画案」の写しが送付されて「再生計画案」に反対する機会が与えられました。
しかし、本件においては、「再生計画案」に反対する債権者は一人もいませんでした。
その後、再生計画案を提出した約2ヶ月後に裁判所から「再生計画の認可決定」が下され、それから更に約1ヶ月後に確定しました。
以上の通り、裁判所に申立書を提出してから約7ヶ月後に個人民事再生の手続の全てが無事に終了し、Cさんの借金の支払責任を軽減させることに成功しました。
なお、個人民事再生の手続の期間中においては、原則として申立人は各債権者(貸金業者等)に対して返済をすることが禁止されています。よって、本件においても、手続の期間中、各債権者への返済は全て中断していました。
その後のCさん
Cさんの個人民事再生の手続が無事に終了した翌月から各債権者(貸金業者等)に対する返済が開始されました。
そして、Cさんは、現在も滞ることなく、毎月、各債権者に対して合計・約2万7800円を支払い続けています。
また、当事務所に相談に来る前には自分達の息子が自己破産をすることだけは避けたいと願っていたCさんのご両親でしたので、個人民事再生の手続によってCさんの全ての借金を整理することができたことを大変喜んでいました。
また、Cさん自身も、自分の借金のために両親をはじめ数多くの人に迷惑をかけたことから自分の無計画な性格を反省し、今回のことを機に競馬も止めて、貯金することを心掛けるようになったそうです。
Cさんが個人民事再生をしたことによって得られた経済的利益
個人民事再生をする前のCさんの借金の状況 | |
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元金の総額(9社分) | 約650万円 |
利息(車のローンを除く) | 年利25・5%~年利29・2%(年間にして合計約110万円) |
毎月の返済額の合計(9社分) | 約22万円 |
個人民事再生をした後のCさんの借金の状況 | |
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元金の総額(9社分) | 約100万円 |
利息 | 無 |
毎月の返済額の合計(9社分) | 約2万7800円 |
個人民事再生をしたことにより失った財産 | 車以外に無し |
〒901-3124
沖縄県島尻郡久米島町字仲泊1201番地 202